倍音とは簡単にいうと、元の音に対して、X倍の周波数のことを指します。英語ではharmonics(ハーモニクス)と言います。

例えばピアノで「ラ」の音を鳴らすと「ラ」の音が鳴ります。当たり前ですよね。

このとき、「ラ」以外の音は基本的には感じとれませんが、実は他の周波数の音も混ざっているのです。感じとれないのに他の音が混ざっている、これが倍音なのです。

倍音を科学的に考えてみよう

ギターのチューニングでは音叉が使われます。音叉を鳴らすと、440Hzの周波数が鳴ります。この440Hzの音を中心に倍音の意味を説明していきます。

まずはピアノの鍵盤とそれぞれの鍵盤に該当する周波数を見てください。

これを見ると、音叉が鳴らしてくれる440Hzの周波数はピアノの鍵盤で言うA4の位置にあります。

1倍

上記で説明した音叉は440Hzの周波数を持ち、「ラ」の音に該当します。A4の位置にあるこの音を1倍として考えるとしましょう。

2倍

基本の「ラ」の一つ上のオクターブの「ラ」の音の周波数は880Hzです。A4に比べて2倍の周波数なので2倍です。A5の位置にあります。

3倍

では、基本の「ラ」の音の3倍の周波数はどの音でしょうか。440Hz x 3 = 1320Hzなので、大体E6の位置にある「ミ」にとても近い音です。(E6の正式な周波数は1318.51Hzです)

4倍

A5の「ラ」よりさらに一つ上のオクターブの「ラ」の音の周波数は1760Hzです。A4に比べて4倍の周波数なので4倍です。A6の位置にあります。

5倍

では、基本の「ラ」の音の5倍の周波数はどの音でしょうか。440Hz x 5 = 2200Hzなので、大体C♯7の位置にある「ド♯」にとても近い音です。(C♯7の正式な周波数は2217.46Hzです)

6倍

では、基本の「ラ」の音の6倍の周波数はどの音でしょうか。440Hz x 6 = 2640Hzなので、大体E7の位置にある「ミ」にとても近い音です。(E7の正式な周波数は2637.02Hzです)

7倍

では、基本の「ラ」の音の7倍の周波数はどの音でしょうか。440Hz x 7 = 3080Hzなので、大体F♯7とG7の間です。(F♯7の正式な周波数は2959.96Hzで、G7の正式な周波数は3135.96Hzです)

このような形でA4の「ラ」を弾くと、一緒に2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、などの音が感じ取れないレベルで共鳴しながら一緒に鳴るのです。

耳では感じ取れないかも知れませんが倍音は確実に一緒に鳴っていて、それが音に豊かさを与えているのです。

MIDIで鳴らすソフトウェア音源の多くには倍音がない

リアル楽器を鳴らすと、上記のように勝手に倍音が鳴ります。ですから、単音に聞こえる音も実は色々な周波数が組み合わされて、複合的な音を出しています。そのため、リアル楽器は音質が豊かな音を出すことができます。

しかし、MIDIで鳴らすソフトウェア音源などの多くは指定した周波数しか鳴りません。ですから、単音は本当に単音でのみ構成されています。そのため、人間にとっては豊かな音に感じとれないわけです。

人間にとって豊かに感じる音にするには倍音を追加していく必要があるのです。

倍音を追加していく方法は色々ありますが、下記のようなやり方もあります。

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