あなたはリアルタイム・タイムストレッチはご存知ですか。

リアルタイム・タイムストレッチとはその名前の通りタイムストレッチをリアルタイムで行うことができる機能のことを指します。

参考:タイムストレッチで曲のピッチを変えずにテンポだけを変化させる

私はこの機能があるかないかで音楽制作のワークフロー(作業の流れ)が大きく変わってしまうと感じています。ですから今となっては私の中では必須の機能になってしまっています。私のようなループベースの音楽を作っている場合にはこの機能がないとトラック制作が行き詰まってしまうことがあるくらい深刻です。

では、今回はリアルタイム・タイムストレッチの有無がどのように音楽制作のワークフローを変えてしまうかを説明していきます。

背景

例えば、あなたは下記のようなカッコいいワンループを発見したとします。

ループはかっこいいんだけどもう少しサンプルの再生速度を早くしたいなと思ったとします。そのためにあなたはタイムストレッチ機能を使っていこうと考えました。

このシナリオをリアルタイム・タイムストレッチ機能がないDAWとあるDAWでそれぞれやってみることにします。では、まずはリアルタイム・タイムストレッチ機能がない制作環境から説明していきます。

リアルタイム・タイムストレッチなしでの音楽制作

ループをリアルタイム・タイムストレッチに対応していないアプリで開きます。

(IntuaのBeatmaker 2やNative InstrumentsのiMaschineなどのiOSアプリはリアルタイム・タイムストレッチには対応していないので、説明していくにはもってこいのアプリだと思います。今回はIntuaのBeatmaker 2を使用して説明していきます。)

rt_01

まずはIntua Beatmaker 2でループを取り込みます。取り込んだサンプルのテンポを調べてみると69.30とあります。

rt_02

オーディオトラックを立ち上げます。

rt_03

ループをオーディオトラックに貼り付けます。

rt_04

ループの尺とトラックの尺がズレています。

rt_05

ループのBPMが69.30なのに対してトラックのBPMが90なのでズレが生じているみたいです。

rt_06

では、トラックのBPMを69.30に下げます。すると、お尻の部分のズレがなくなりました。

rt_07

オーディオのパラメーターを一応確認してみましたが、どうやらオーディオに対してはタイムストレッチすることはできなさそうです。

rt_08

では、パッドを立ち上げます。

rt_09

ループを最初のパッドに読み込みます。

rt_10

サンプルの詳細を見てみると、先ほどのようにBPM69.30とあります。

rt_11

では、サンプルレベルでタイムストレッチをかけて、BPMを75にしましょう。

rt_12

サンプルがBPM 75に伸びました。

rt_13

では、このサンプルを保存します。

rt_14

分かりやすいように「Phat_Loop_Timestretched」と名前を付けてOKをタップします。

rt_15

タイムストレッチされたサンプルが最初のパッドにロードされています。

rt_16

では、録音します。録音が終わったら、シーケンサー画面に移動します。

rt_17

サンプルのBPMが75なのに、トラックのBPMが69.30のままなので、サンプルが途中でプチっと切れます。

rt_18

トラックのBPMを75に上げました。

rt_19

サンプルがキレイにBPM 75でループするようになりました。でも、Beatmakerのタイムストレッチの音質があまり良くないので、音質が少し気になります。

はい、終了です。ここまでするのに、私は何ステップ踏んだのでしょうか。BPMを変更するにはこれだけの作業が必要になり非常に面倒くさかったです。

リアルタイム・タイムストレッチありでの音楽制作

では、リアルタイム・タイムストレッチ機能をが付いているDAWで同じことをやってみるとどうなるかやってみます。

rtd_01

まずはサンプルをDAWに取り込みます。

rtd_02

サンプルの詳細を確認します。

rtd_03

BPMが138.60になっていたので、「:2」のボタンをクリックして、BPMを半分の69.30にします。

rtd_04

グローバルテンポが138.60のままになっています。

rtd_05

グローバルテンポを75に変えます。以上、終わりです。

まとめ

リアルタイム・タイムストレッチ機能が付いているのか、付いていないかだけで同じことを達成するのにこれだけ手順が変わってしまいます。

リアルタイム・タイムストレッチ機能なしの場合、オフラインでのタイムストレッチをすることになり、サンプルレベルでの編集を余儀なくされます。反対に、リアルタイム・タイムストレッチの場合はサンプルレベルでの編集は必要ないので、「失敗したな」と思ってもすぐに元の状態に戻せてしまうのです。

このようなことから、リアルタイム・タイムストレッチ機能に慣れてしまった私は、リアルタイム・タイムストレッチ機能なしのDAWを使うときのワークフローが面倒で仕方がありません。

もちろん、リアルタイム・タイムストレッチ機能なしでも曲は作っていけますし、そちらから始めていった方が長い意味では上達が早いとは思います。しかし、ある程度トラックメイクに慣れてきたらリアルタイム・タイムストレッチ機能ありのDAWでやっていった方が直感的にBPM変更ができるようになりますし、頭の中のイメージを形に変えていくのがより簡単になると思います。