中央に配置してある音を外に広げると、ステレオ感が強調されます。

音に広がりがあれば臨場感がより伝わりやすいのですが、逆に広がりすぎたら音が気持ち悪くなってしまうので、設定には注意が必要です。

ではどのようにすればステレオ感が上がるか見ていきましょう。

ステレオ感を上げる基本

基本的に、低音(ドラムのキックやベース)は中央の定位(音の位置ということ)から外してしまうと違和感を感じるので、外に広げることはしません。

ステレオ感を出すときは中高音域だけを広げていくのです。

おすすめしない方法:ディレイを使う

トラックのコピーを作り、一つは左100%に、もう一つは右100%にパンニング(定位を移動させること)します。

片方のトラックを数十ms(ミリ秒)ぐらいディレイ(遅らせること)させます。

すると、ステレオ感が広がります。

しかし、このやり方はハース効果(Haas Effect)を招いてしまいます。またの名を先行音効果(Precendence Effect)と言います。ハース効果とは心理音響効果の一つで、違う方向から全く同じ音が鳴るときに片方にディレイがある場合、先に耳に届く音の方向からの音に聞こえることを指します。数msのディレイから効果が発生し、ディレイが50ms以上になると2つの異なる音として聞こえるようになります。

これがどういう意味かというと、上記の例で言うと右側にディレイをかけると、ディレイ音の方が音量が大きくしたとしても音は左側からきたように聞こえてしまうのです。

これをミックスに使ってしまったら後々大きな問題となります。

両方の音を同じ音量にしたら、音が片側から来たように聞こえるため、ズレたように聞こえてしまう。しかし、ディレイ音の方の音量を大きくして、音のバランスを整えようとしたら波形の大きさに差が出てしまう。

これらのことから、ディレイを使ってステレオ感を上げる方法は全くおすすめできません。

まあまあおすすめする方法:リバーブを使う

リバーブをかければかけるほど、音が中央から外に向けて広がっていきます。

ですから、低音にはほとんどかけず、中高音域のトラックにある程度のリバーブをかけていけば、音に広がりを持たせることができます。

一番おすすめする方法:専用のプラグインを使う

ステレオ感を上げるには専用のプラグインを使うことを強くおすすめします。

各トラックにステレオ感を加えていきたいのなら、Waves社のS1 Stereo Imager、マスタリング時にステレオ感を加えていきたいのならIzotope社のOzoneシリーズのStereo Imagerを使うと音像にハース効果を与えることなく、ステレオ感を出すことができます。

まとめ

ステレオ感を広げるのは諸刃の剣です。

成功すれば臨場感のある音楽が作れますが、失敗すれば何がなんだかよく分からない音楽になってしまいます。特に、ステレオ感を広げすぎると何を言っているのかが分からなくなり、聞き取りにくい音楽になってしまいます。

そのため、ステレオ感を上げるプラグインはほんの少しだけいれるスパイスのように扱いましょう。