EQは足すより引く事を基本にしてください。

元々少ない音域をEQで無理やりブーストしていくよりも、最初から多く存在する音域を削って形を作っていく方がEQの原理としては正しい使い方です。

EQの良い使い方を一言で言うと彫刻を掘るような感じで、音を形作っていきます。

無いものを増やすと耳障りな音やノイズも一緒にブーストされていきますから、ミックスをめちゃくちゃにするのはとても簡単です。

EQで音域をブーストしたくなるパターンとしては、レコーディングしたボーカルの音がこもって聞こえるから高域をEQで持ち上げたいとか、サンプリングした音源の音がちょっと丸く聞こえるから高域を持ち上げたい等々。

こういう時に思いっきりEQで高域をブーストする人を見てきました。

これって埋もれている音を無理やり聞こえるようにするから、いらない音まで一緒に持ち上がってしまって、結局ミックスのバランスがとんでもない事になるんです。

ブーストしてはいけないとは言わないけれど、副次的な効果があるという事を忘れないで頂きたい。

EQで聞こえないレベルの低域を削る

先ほど申し上げたように、EQは最初から存在する音を削って音を好きなように形作っていくにはもってこいなエフェクトなんです。

例えば、各トラックの低域には耳にはあまり聞こえないけど実はそこに音が存在するという場合が多いです。

このように単体では耳にあまり聞こえない音も、複数の音をミックスをする時には加算されていって、意外とミックスの邪魔をします。

トラックが8つあったとしたら、それらをミックスするときにトラック8つ分の低域が重なり合って、思いのほか大きな音の塊となっている事が多いです。

EQを使わずにそのままミックスしてしまうと、なぜか音圧がうまく持ち上がらなかったり、スピーカーで再生してみたら音が割れていたという事があります。

それを防ぐためには各トラックにハイパス(High-Pass)フィルターを掛けて下さい。

ハイパスフィルターとはその名前の通り、設定した値より上の音域のみを通し、設定した値より下の音域を削るというものです。

例えば、ピアノのトラックがあったとします。

ハイパスフィルターを大体100Hzくらいで掛けてみて下さい。

(100Hzというのはあくまでもアバウトな値なので注意して下さい。)

ようは、音の質感が変わり始める直前のギリギリのラインまでハイパスフィルターを掛けて欲しいんです。

すると、耳にはほぼ聞こえない、あまり必要ではない音をバッサリカットする事で、音をスッキリさせる効果があるのです。

音が変わり始めてしまったラインにハイパスフィルターを掛けてしまうと逆に音が痩せて聞こえてしまう場合があるので注意が必要です。

EQは奥が深すぎてマスターするには一生かかると言われていますが、足すより引く事を基本にしていたら、失敗する事は少ないでしょう。